つい最近、私はこういう相談を受けました。

A子さんは、姉の親しい友人で、姉を通じて、抗がん剤病棟勤務経験のある私に聞いて欲しいとのことでした。
■目次
医者によって言っていることが違う場合は、専門医の意見を参考にする
A子さんが直面した「医者によって言っていることが違う」問題。
これは、がん患者さんに限らずすべての人に起こりうることです。
かかりつけの病院では「大丈夫、大したことないと言われていたけど、大学病院や大きな病院で検査したら・・・」ということはよく聞きます。
今回のA子さんの相談を受けて私が感じたことは、「血液内科の医者が言うことが正しいと思う」でした。
私が経験してきた中での印象で、血液内科は特に専門性が強い診療科なので、他の科(ここでいう消化器内科)の先生(医者)では分からない部分もあったんじゃないかなと。
悪性リンパ腫の発生部位が腹部だったので、患者さん本人も腫瘍を自覚できるわけじゃないから(一般的には首のリンパ節にしこりができ、大きくなって目立って分かる場合が多い)、ずっと消化器内科を受診していたみたいです。
そこで、まさか血液内科を受診することになるとは思ってもみなかったのでしょう。
いきなり言われてびっくりもしますよね。
実際に今まで出会ってきた患者さんでも、同じようなことを口にする方がいました。
総合病院などの大きな病院だと、多くの診療科があるので、それぞれの医者は専門分野に特化しています。
専門外のことについては、他の専門の医者へと回します。
大きな病院だと割りとよくあることです。
なかなか病名がつかないと、たらいまわしにされている感もあって嫌ですが、こうしていかないと、正しい治療・検査が受けれなくなってしまうのも事実です。
「餅は餅屋」で、自分の疾患に対して専門分野の医者に診てもらった方がいいです。
医者でも言い回しや説明の上手・下手はあるし、患者さんの理解度も異なります。
専門外の医者に診てもらったときとで、「医者によって言っていることが違う」ということになりうるのです。

もしかしたら、「病気を受け入れられないショック」も大きかったのかも!?
人は誰しも、病気と聞いたときに、受け入れたくない思いがあります。
これは普通の心理過程なので、「どうして私は病気のことをずっと考えてしまうの?」と自分を責めないでください。
時間をかけるしかありません。
A子さんは、母親が「がん」と分かり、血液内科の医者の「悪性リンパ腫ですぐに治療を始めなければいけない状況だ」という鬼気迫る言葉よりも、消化器内科の医者の「そこまで深刻な状況ではなさそう」という言葉を信じたいという気持ちの方が強かったのかもしれないなと思いました。
私も同じ立場だったら、軽い方を信じたいです。
そして、ずっとフォローしてもらっていた科では「大丈夫」という言われていたなら、その医者との関係も築き始めていたでしょう。
ところが、他の医者から「深刻だ」といわれてしまったら、「今までの先生が言っていたことは何だったの?」と思って当然です。
だから、医者への不信感というか、病院を変えた方がいいのかも!と相談されたんだと思います。
転院を考える時は、家族などの面会・フォローのしやすさも重要
私が、A子さんの相談を受けて、色々やり取りした結果、A子さんの母親は、そのまま同じ病院で抗がん剤治療を受けることに決めました。
私が教えてあげた病院は私が以前勤めていた、とても有名で県外からも多くの患者さんが診察・治療にみえる病院で下。
ですがその病院は、A子さんの母親の家から車で1時間半以上かかる少し遠いところの病院でした。
・面会は、誰が、どうやって、定期的にできるのかどうか
A子さんには小さい子供がいるので、遠い病院だと面会やお世話に行くときに大変になる
・メジャーな治療なら、病院によって抗がん剤のレジメン(治療コース)に大きな差はない可能性がある
抗がん剤は身長・体重から考えるオーダーメイドなので、病院によって特殊な治療ができるできないはあっても、抗がん剤治療の型(治療内容)が決まっていれば、大きな差はない場合もある
・その後の治療の経過やスケジュールを確認する
抗がん剤治療は一度きりで終わるものではないので、実際に通い続けれるほどの回数なのか、他の治療(放射線治療など)との兼ね合いも確認する必要あります
これらを踏まえて、Aさん家族は話し合って、今まで通り、そのまま同じ病院で抗がん剤治療することを決めたそうです。
結果としては、面会も頻回に行けるし、外来治療が始まってからも通いやすくて、転院しなくて良かったとのことでした。
A子さんの母親は悪性リンパ腫で「R-CHOP(あーる ちょっぷ)」という抗がん剤でした。
これは、一度入院で抗がん剤を受けたら、その後は外来治療に移行して、6~8回のコースで治療を受けます。
とても珍しい病気なら話は別ですが、今後治療を受けることを考えると、その病院への通いさすさもとても重要です。
脱毛が始まったり、副作用があるときに病院を受診するには、気力・体力が必要です。
また、抗がん剤は一度で終わると思っている人が多いですが違います!
R-CHOPのように一度の治療ではなく、継続して治療を受けなければいけない場合、家族のフォローのしやすさも大事です。
最初は1人では辛いことも多いので、可能な限り家族のフォローを受けてもらったほうが気持ち的にも楽になると思います。
病院を変えなくても、担当の医者を変える手もある
A子さんの場合は治療を急ぐパターンでした。
今回の件は、専門医と専門外医での意見の違いに迷われていましたが、そういう場合だけじゃないと思います。
病院を探している時間もないけど、どうしてもこの医者とは合わない!自分の命を託すのには不安だし、ストレスもたまる!もう無理だ!
ということもあるでしょう。
そんなときは、同じ病院で専門医の中でも、担当医師を変えることができます。
少し、申し出にくい内容になりますが、今後続く治療を考えると、ストレスは減らした方がいいです。
ですが、担当医を変えることはメリット・デメリットもあります。
医者をどうしても変えたいときは、早めがいいです。
治療経過が長くなって情報が多くなると、後続の医者に伝わりにくいこともありますし、何よりも患者ー医師間の信頼関係を築いていくことが大切です。
ここで、最初の医者と言っていることが違う!となってしまえば本末転倒ですから、よく考えなくてはなりませんね。
セカンド・オピニオンを利用する
病院を決める・変えるにあたっては、「セカンド・オピニオン(複数の医師に意見をきくこと)」もできるので、決めるのは患者さん・家族です。
セカンド・オピニオンは患者さんの権利なので、遠慮することはありません。
もし、他の病院で受けたことがあるなら、「どう言われたか」なども含めて情報を伝えてください。
心の中でこっそり「この前の病院と言っていることが違う・・・」と思うよりは、不安を必ずそこで取り除くべきです!!
まとめ:病院を変えたいと思ったときは、周りのフォローのしやすさ、治療スケジュールの確認を
どうしても診てもらいたい先生がいる、この病院で最先端の治療・保険外の治療をしたいなどの思いは様々です。
抗がん剤を受ける場合、病院・医師に不信感を抱いた場合は、以下の項目を確認してみてください。
・治療はどれくらいの周期で行うのか
・外来治療に移行できたとしたら、どういうスケジュールで治療するのか
・その後の治療スケジュール
・他の治療(放射線治療など)との兼ね合いは?
・家族や周りの人の面会・フォローのしやすさはどうか
抗がん剤治療は、決してあなた一人きりで挑むもでもないと思っています。
家族と疎遠であったり、身寄りがない場合も、友人・知人が助けてくれたり、面会に訪れてくれます。
そういう患者さんを多く見てきて、「人は一人じゃないんだな」と実感させられました。
家族や友人・周りの人の支えは、抗がん剤治療を受けることへの前向きな力になります。
家族のフォローのしやすさ、通いやすさに加えて、信頼できる先生と出会うことが一番いいことだと思います。
ですが、様々な事情で「病院変えたいな・・・でもそんなことできるのかな」などを考えたときには、選択権は患者であるあなたにあるんだよってことを頭の片隅に覚えてもらえたらと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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抗がん剤の治療の流れを解説!
それなのに、検査を色々受けた結果、悪性リンパ腫と分かり、血液内科の先生には治療を急ぐ状況だと言われた。
先生によって言っていることが違って、本当にこんな病院でいいのかなって。
どこか悪性リンパ腫を治療するにあたって、お勧めの病院ある?